人と伴に。地域と共に53年 信頼と安心の家づくり アカイ工務店


アカイ工務店ニュースへ戻る

 NO14 相続税の税務調査と名義預金


 相続税の税務調査で申告漏れを指摘される事項の1/3以上が「現金・預貯金」とされます。今回はその
「現金・預貯金」について説明いたします。

1.相続税の税務調査とは?

   相続税の申告は、法人税や所得税とはちがい一生に一度くらいしか申告の機会はありません。
  そして、その相続税の税務調査は、その申告書を提出してから、1年や2年経過してちょうど忘れた
  頃に行われることが多くあります。
   そして相続税の税務調査が行われると、修正申告をしなければいけないケースがほとんどとなり
  ます。
   では、なぜ修正申告の必要が多くなるのでしょうか。下表のデータによるとその1/3以上が現金・
  預貯金の申告漏れとされています。相続税の税務調査では「現金・預貯金」を調べることが多いと
  いうことです。そして、その漏れる「現金・預貯金」とは主に「名義預金」といわれるものです。

調査に基づく申告漏れ相続財産額の種類別内訳(構成比)
相続税の申告事績(平成17年分)及び調査事績(平成17事務年度分)
国税庁 報道発表資料(プレスリリース)より(単位:億円、%)
種類 土地 家屋 有価証券 現・預貯金 その他 合計
財産額
(構成比)
738
(18.9)
74
(1.9)
651
(16.7)
1,464
(37.5)
976
(25.0)
3,903
(100.0)

2.ペイオフと名義貯金

   ペイオフが実施された今、例えば3億円の預金をリスク分散させるためには、30行の銀行を探す必要があります。
  しかし、家族3人分の名義で預金を分散させれば10行(1千万円×3人×10行=3億円)で
済みます。
  この場合、贈与税は課せられません。なぜなら本人が贈与したのではなく単に家族名義にしただけのこと
  ですから、以下の@からCを充足していれば贈与税は課税されませんし、ペイオフも「大丈夫」となります。
  @家族名義になっているが実質は本人のものである
  A当事者間で贈与の意思がない
  B以前から預金管理は本人が行っている
  C課税庁からの指摘があれば本人名義に戻せば贈与税は課さない
   これらのように名義預金とは、被相続人の配偶者、子、孫などの家族が名義になっている預金が、
  実質的には、その名義人の固有財産ではなく、被相続人の所有に属したのもであれば、その預金は、
  遺産に該当することになり、その預金を一般的には「名義預金」といいます。

3.金融資産(預金・有価証券)はほとんど税務署に見つかります。

   税務署が相続税の税務調査をする場合には、被相続人の取引先金融機関だけではなく、取引先で
  ない一定の金融機関に対し書面等により預金の残高照会及び取引記録(お金の動き)を照会します。
  さらに、この照会は相続人や相続人以外の家族(孫など)に対してもなされます。これらの金融機関へ
  照会により被相続人や相続人が過去にどのような収入があり、また、そのお金がどのように使用され
  たかを、把握されることとなります。被相続人が亡くなる前後などに預金を動かしていれば、必ずその
  流れがつかまれるわけです。

4.そのお金は誰のもの?

   前述のように相続税の申告に当たって注意すべき点の一つは、「名義預金」であるといえます。
   次に掲げる預金については「名義預金」として判定される可能性が高いと思われます。
  @嫁いだ娘の旧姓の名義で放置してある預貯金がある場合
  A名義人の預貯金として使用している印鑑でない印鑑(三文判等)を使用している場合
  B入金のみの預貯金(口座)で引き出しがほとんどされていない場合
  C名義人の住所地が遠距離で、親元近くにある金融機関等の預貯金がある場合
  D親が定期預金等の手続きを行っている預貯金で、そのサインが名義人のものではない預貯金

   「名義預金」は実質的には、被相続人の所有に属することになることから、相続税の申告に際しては、
  この「名義預金」を相続財産として計上しなければなりません。
   どの家族でも親子間などでお金の貸し借りは、あいまいになりがちです。結婚式等の費用、住宅建設の
  ための土地購入、マンション購入などのために、安易な家族間でのお金の移動は贈与税又は相続税の対象
  となる場合が多くあります。
   お金には、名前が書かれているわけではありません。「お前のものはオレの、オレのものはオレのもの」
  と誰のものかはわからず、すべての相続財産にされてしまいかねないこともあります。ご不明な点がある
  場合には、ご相談下さい。

     相続税の税務調査においては、お亡くなりになった方の名義の預貯金以外に、お亡くなりになった
    方の配偶者、子供、お孫さんまでの預金の動きを税務当局は、原則として5年間調査しています。
    調査のポイントは、その預貯金の名義人は実質的にもその預貯金の保有者なのか?ということです。
    そのためにも、今回のニュースの4の@からDの項目などを参考にチェックしてください。     友弘