NO21 不動産収入の計上について@ 
  
不動産所得を計算する際、費用計上については多くの片が気にしておられますが、意外と収入の計上につい
 ては、十分な注意が払われていないことが多いのではないでしょうか。
  今回と次回にわたり、不動産所得の収入計上についてお伝えしていきます。
 
1.はじめに
    不動産収入のうち、今回は賃料などの経常の時期、次回は敷金などの授受があった場合の計上の仕方を
  簡単にご説明いたします。


2.地代・家賃などの収入計上時期
   <原則>
   ふつうは賃貸借契約書が交わされていますので、その契約書に記載されている支払日にその賃貸料を
  収入として計上する事になります。(表1)
  この場合、入金がなくても収入として計上します。
   特例 (詳しくは税理士などの専門家にお聞き下さい)
 (1) 現金主義 青色申告者が一定の届出をした場合は、その年において現実に受け取った金額を其の年の収入
  金額とします。
 (2) 期間対応主義 帳簿を備えて継続して前受・未収の処理をしている場合は、その年の貸付期間に対応する
  賃料をその年の収入金額とします。    

(表1) @  契約または慣習により、支払日が決められているもの その定められた日
A  支払日が決められていないもの その支払を受けた日
B  請求があったとき、支払こととされているもの その請求の日
C  貸付契約に伴い資産の引渡しを要するもの
 (礼金・権利金・ 名義書き換え料等)
その引渡しの遭った日(契約の効力発生の日でも良い
D  貸付契約に伴い、資産の引渡しを要しないもの
 (権利金など)
その貸付契約の効力発生の日

3.未収賃料にご注意
     前項の<原則>でも触れましたが、契約書に支払日が明記されている場合、賃料の入金がなくてもその支払日
    に収入として計上しなければなりません。
    たまたま1月だけ入金が遅れた、という場合は皆さん納得(どうせ翌月には入金になるから)されますが、
   賃借人の状況が思わしくなく、一年間賃借料が全く払われなかったとしたらどうでしょうか。
   賃料が入る見込みがないから、収入計上なんて必要ない!と思ってしまいますが、契約が継続している限り
   支払日が到来するたびに収入に計上しなければならないのです。
    ところでこの入金がない場合においても税金は収入があったものとして計算され、実際に納付しなければ
   なりません。
   お金は入ってこないばかりか、税金はしっかり取られるという「泣きっ面にハチ状態」になります。
    早めに契約を解除して立ち退いてもらうよう交渉することが重要となります。もし、賃借人が知人などで
   立ち退きを迫りにくい事情があるときは、契約書うえの家賃を下げるなりして収入計上額を少なくする手立
   てを打っておきたいものです。(この場合、贈与税がかからないように気をつけてください)。
  なお、立ち退き後は用件を満たせば収入として計上された未収金は貸倒損失として費用計上ができるように
  なります。また家賃増額やや明け渡しを求める訴訟を行っている場合には計上の特例があります。
   いずれにしても未収家賃が発生した場合は法律上・税務上難しい問題が発生しますので、専門家のご相談
  下さい。
   なお、賃借料の消滅時効は5年となります。
4.礼金・権利金等の収入計上時期

    地代・家賃に比べてわかりにくい表現ですが、この「資産の引渡し」とはふつう建物の賃貸借では鍵の引
  渡し、土地の賃貸借では土地の引渡しをいいます。権利金については、2点の注意事項があります。
   その1は、権利金という名目ではあるが、実態は敷金・保証金である場合。この場合は敷金・保証金に準じた
  取り扱いとなります。(次号参照)。その2は借地権の設定に伴う権利金の場合、権利金の額が多き(その土地
  の時価の2分の1超)と、その取引は譲渡とみなされ、譲渡所得の収入金額となってしまうことです。
                                        【以下、次号へ続く】
   
     家賃の入金チェックを迅速に行うことは、賃貸経営において一番重要なことです。
    なぜなら税務上入金がない未収家賃についても税金がかかる上に、対応が遅れますと最終的には
    弁護士費用や引越し費用まで負担しなければならないということにもなりかねないからです。   友弘

 

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